ところが、私もマスクをしてみて実感したのですが、マスクで口と鼻を覆われているとまともな呼吸ができません。マスクをはずしたときの爽快感は体がまともな呼吸を欲していたことを示しています。

 それでもマスクをせざるを得ないのは、万が一、自分がコロナに感染していたときに、ウイルスを含んだ飛沫(ひまつ)を周囲にまき散らさないためです。私も周りに迷惑をかけないように状況によってマスクをします。

 そのときに、私が提案したいのは鼻を出してマスクをするということです。呼吸法の基本は鼻で吸って吐くということですから、鼻がマスクの外に出ていれば、しっかりとした呼吸ができます。また、飛沫を飛ばすのは口からですから、口さえマスクで覆っておけばいいのです。マスクではウイルスを防げないのですから、鼻を出していても同じです。くしゃみをするときは鼻からも飛沫が飛びますから、マスクを引き上げましょう。

 免疫力を高めるために、ぜひ“鼻出しマスク”を実行してください。

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

週刊朝日  2020年9月18日号

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帯津良一

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帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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