帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
※写真はイメージです (GettyImages)
※写真はイメージです (GettyImages)

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「鼻出しマスクの勧め」。

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【呼吸】ポイント
(1)みんな炎天下の屋外でもマスクをはずさない
(2)マスクは免疫力に悪影響を及ぼす恐れがある
(3)呼吸のために鼻出しマスクを実行しよう

 今年の夏は暑かったですね。9月に入ってもまだ暑さが続きそうです。ところが驚いたことに、そういう暑さにもかかわらず、外を歩く人のほとんどがマスクをしたままなのです。

 マスクについては7月24日号で書きました。そこでも紹介したように、熱中症を予防するために厚生労働省は「屋外で人と2メートル以上離れているときにはマスクをはずしましょう」と呼びかけています。

 また、「3トル」を実行しようという熱中症の専門家からの提言もあります。3トルは「距離をトル。マスクをトル。水分をトル」です。ところが、みんな炎天下の屋外でもマスクをトラないんですね。なぜなんでしょうか。

 やはりマスクをしていると安心できるということでしょうか。しかし、マスクを過信するのは間違いです。新型コロナウイルスは通常のマスクの繊維の間を簡単に通り抜けます。ですからマスクでコロナを防御することはできないのです。

 あるいは、最近は電車やお店でマスクをするように言われますから、つけたり、はずしたりするのが面倒だということでしょうか。

 しかし、私はマスクをすることのデメリットをしっかり考えるべきだと思います。熱中症になるリスクもそのひとつですが、それ以前にマスクは免疫力に悪影響を及ぼす恐れがあります。

 人の体の自然治癒力や免疫力のベースになるのは呼吸です。人は平均すると1分間に約15回、1日に2万1600回呼吸をします。この呼吸の質を高めることが養生の基本です。ですから、気功、ヨガ、瞑想(めいそう)はいずれも呼吸法を中心に据えています。

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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