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42歳での電撃結婚。そして伝説の高齢出産から2年。母として、女優として、ますますパワーアップした水野美紀さんの連載「子育て女優の繁忙記『続・余力ゼロで生きてます』」。今回は人生の中で増えていく「怖いもの」について。
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歳を重ねれば重ねるほど、「怖いもの」は増えるのだろうか。減るのだろうか。
経験値が増えただけ、対処法の知識は増えるだろうから、例えば、火事を防ぐためにセンサーで火を消してくれるコンロを使う、とか、万が一の病気や怪我に備えて保険に入る、とかすることで怖さを減らしていけるのか。
それともむしろ知識が増えることによって、「怖いもの」も多種多様に知ることになり、例えば富士山が噴火しそうだ、とか大地震が来そうだ、とかコロナのようなウイルスで、ある日突然生活が一変することもあるんだ、とか対処しようもないことへの怖さは増え続けるばかりなのか。
ちびが産まれた時、確実に私は怖いものだらけになった。
陣痛の恐怖、会陰切開の恐怖。産後の体の変化への恐怖。
生活の変化への恐怖。ちっちゃな赤ちゃんを扱う恐怖。
誤飲やおむつかぶれ、アレルギーなどの恐怖。
風でバタン! と閉まるドアに指を挟む恐怖。
飛び出して車に轢かれる恐怖。
親になるということは、子供に起こりうるであろう、様々な「怖いこと」との戦いの始まりだと言っても過言ではない。
だけど怖がってばかりはいられない。
楽しく過ごせる時間の幸せをしっかり噛み締めて、一瞬一瞬を大事に生きていくしかない。
イライラしたり焦ったりするのは怖さと戦っているからなのだ。
親業に限らず、もしかしたらこれはいろんな職種に当てはまるかもしれない。
現在、舞台の公演中の私の業種は「舞台役者」。
では、この舞台役者に特化した怖いものとは何だろうか。
このコロナ禍で急に浮上したのが「公演中止」だ。
これまではインフルエンザが一番怖いウイルスだったのを、コロナがひとっ飛びで超えた。
幕が開く。そのことをこんなにありがたく感じたことはなかった。
しかし幕が開いたら開いたで、我々は日々、怖いものに囲まれ、戦っているのだ。