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 YouTubeやTwitterやSNSには、個人の数だけ意見が投稿されます。もちろん、自分と異なった意見の人もいます。実際に生活していて、自分と異なる意見や考え方、価値観を持つ人がいても、「こんな考え方もあるんだな」という程度の認識で済ませる人が多いと思います。

 ところがインターネット上だと、動画や文章などの限られた情報を元にコミュニケーションを取るからなのか、現実よりもネット上で強気になる印象があります。(ネット弁慶とも言える現象です)

 YouTubeやTwitterで発信していると、コメントに様々な意見が来ます。「自分はこう思う」という別の意見や「自分はこう思わない」という反対意見は、全く問題がないのですが、「だからお前も同じ意見にしろ」と強要するパターンは、看過できません。無意識にやる人が多いので、注意が必要です。

 実生活でも、「あなたのためを思って言っている」「私のいうことは正しい」などの言葉を用いて他人を思い通りに動かそうとする人がいます。油断すると、親が子供に言ってしまうパターンもあります。人にはそれぞれの意見があり、それは尊重しなければいけません。反対したり議論することはありますが、自分の意見を押し付けたり強要するのは、相手の人格を否定するのと同じくらい罪深いです。これをやりがちな場所が、インターネットなのです。

 SNSは特に同調圧力が強いです。YouTubeはSNSの性格も多分に帯びています。コメント欄は同調圧力がすさまじいです。「〇〇さんがこう言ってるんだから正しい」と、もはや自分で考えることすらせずに、誰かを神格化して思考停止する人もいます。情報を自分で咀嚼することもなく、限られた情報をうのみにするのは危険です。

 最近、「LGBTが法律で守られると足立区は滅んでしまう」と言う発言をした区議が、Twitterなどで話題になりました。この発言は多くの反響を呼び、批判が相次ぎました。炎上とも呼べる事態です。過激な発言が一人歩きして、LGBTの人権が認められていないと多くの人に捉えられました。ですが、今回の件で、多様な価値観を認めていないのは、区議ではないと思います。とても少ない文字数の簡略的なツイートを読んで「LGBTだって守られなきゃいけない。なんてひどい区議だ!クビにしろ」と意見した人の中で、何人がソースとなった区議の発言の全てを聞き、区議が何を言おうとしているのかを把握していたでしょうか。わずかな情報をうのみにして拡散するのはSNSの性格そのものです。

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