※写真はイメージです (GettyImages)
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認知症の初期症状 チェックリスト (週刊朝日2020年10月23日号より)
認知症の初期症状 チェックリスト (週刊朝日2020年10月23日号より)

 2025年、認知症の高齢者は約700万人に増えると見込まれている。一方で、認知症になるリスクを下げるには生活習慣が大切だとわかってきた。バランスのよい食事が大事だが、ほかには何を注意して過ごせばいいのか。

【認知症の初期症状 チェックリストはこちら】

 食べるだけでなく、体を動かすことも重要だ。日本認知症予防学会理事長の浦上克哉・鳥取大学医学部教授は、(1)適度な散歩などの有酸素運動(2)転ばないようにする筋力訓練(3)転んでも骨折しないように体を柔らかくするストレッチ──の三つをバランスよくこなしてほしいという。

 知的活動(脳トレ)も浦上さんは勧める。頭を使って指を動かすことがよく、絵を描いたり、塗り絵をしたりするのがいい。日記や手紙など、字を書くのも効果的だ。パソコンで文字を打つと漢字変換の機能に頼るため、漢字の書き方を忘れてしまうことが少なくない。手書きだとどんな漢字か思い出す必要があるので、認知機能の維持につながる。

 同じく頭を使って指を動かす将棋、囲碁、マージャンも予防策になるが、注意点がある。

「物忘れをしてくると、負けてしまうことが多くなる。いつも負けると気分が悪くなるので、物忘れが多い人はお勧めではない」

 一方、指を動かすゲームはいいという。相手(コンピューター)のレベルを弱くできるからだ。自分の趣味に合ったもので楽しみたい。

 音楽療法も認知症のリスクを下げるという科学的根拠がある。ピアノやバイオリンなど楽器演奏がよく、演奏できない人はカラオケで歌うだけでもいい。浦上さんは言う。

「声を出すのはいいことで、口の運動になり、エネルギーを出す。耳で聞き、聴覚の刺激にもなる。いろいろなところを刺激します」

 本の音読も同様の効果がある。

 浦上さんは病院で診察すると、こう感じるという。

「認知症の進行が早いのは一人暮らしの高齢者で誰とも話さない人」

 認知症予防にはコミュニケーションが大事で、さらに社会の中でできるだけ役割を持ち、生きがいを持つことが大切だという。

 しかし、コロナ禍では高齢者が周囲と十分にコミュニケーションを取ることは難しい。外出を自粛したり、ソーシャルディスタンス(社会的距離)を取るため耳の遠い人は相手の声が一層聞こえにくくなったりするからだ。

 浦上さんは、親族などと電話で話したり、手紙でやりとりしたりすることを勧める。

(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2020年10月23日号より抜粋