アンケート回答の自由記述には、こんな言葉が並びました。まずは、女性が「イクメン」に感じているモヤモヤから。
「なぜ特別視されなければならないのか分からない。家事も育児もやって当たり前」(40代女性)、「『イクウーマン』なんて言葉は存在しない」(30代女性)、「育児は母親っていう固定観念が根底にある」(40代女性)
女性に目立ったのは、こうした意見でした。育児や家事の大半を負担するのが女性という家庭は、まだまだ少なくありません。なぜ男性の子育てだけが持ち上げられるのかと憤るのは当然でしょう。そうした状況下、週末に子どもの相手をしただけで「イクメン」を気取られたらたまらない。そんな思いもあるでしょう。
■「両立疲れ」と「特別視への違和感」
つづいて、男性が「イクメン」に感じているモヤモヤです。言い換えれば、「イクメン」と呼ばれたくない父親たちのモヤモヤです。
「仕事に縛られざるを得ない自分からすれば、家庭に対する義務感が際立つ、非常に迷惑な言葉」(30代男性)、「育児というものは、女性だけでなく男性も関わるのが当たり前の事なので『イクメン』という形で男性だけが特別扱いされるのは違和感しかない」(20代男性)
男性の場合、大きく二つの傾向が見て取れました。一つは「男は仕事」という意識が残る中、家庭での責任が増えることへの戸惑いや不満の声です。これらは女性側の意見と対立的になりがちです。もう一つは、すでに深く家庭に関わり、子育ては当然と感じている中での違和感です。「『ワーママ』も同じくらい嫌い。働くママってわざわざ言う必要ある?」(30代女性)。こうした女性の感覚に近いのかもしれません。
前者を「両立疲れ群」と呼ぶことにします。いわば、「男は仕事」という意識の中で、「イクメン」という言葉に家庭との板挟みをイメージする「両立に疲れた」父親たちです。そして、後者を「特別視への違和感群」と呼びます。父親の子育ては当然という意識なのに、周囲にいぶかられたり、逆に特別視されたりすることで「周囲とのズレに違和感を覚える」グループです。