■「自由の本質」を学ぶ機会に

 村野先生は桐朋の教育目標にからめてこんな話をしてくれた。

「教育目標のひとつに『自主的態度を養う』とありますが、『自主』とか『自立』を『“先生が指示したことに”自主的に取り組む』なんていうふうにとらえる生徒になってほしくない。自分たちの頭を使って、じっくりと考えてほしい。中高生活でその機会をひとつでも多く与えていきたいと思っています。そのひとつがこの『クラスの日』なんです」

 だからこそ、先に紹介したマザー牧場に行ったクラスの担任教師も、生徒たちの意思を尊重し、バンジージャンプに挑戦したのだろう。

 ところで、皆さんは「バンジージャンプ」の起源をご存じだろうか。それは南太平洋のバヌアツ共和国のペンテコスト島でおこなわれている「ナゴール」である。足にツルをくくりつけ、大木の上に設置されたやぐらから数十メートル下に向かってジャンプする。これは成人として周囲から認められるための「通過儀礼」であった。

「クラスの日」も、桐朋が仕掛ける「大人への通過儀礼」なのだなと、わたしは感じている。

 先の高2生は同校の教育についてこう語る。

「桐朋では『自由の本質』を学べるんです。『自由』とは何をしてもよいということではありませんよね。『自分たちの責任』の下で取り組んでいかねばなりません。そんな良い意味での『自由』を学校から与えてもらっているように思います」

 高2の彼は今年の文化祭実行委員を務めていた。

 例年6月に開催する「桐朋祭」は、今年はコロナ禍により9月に開催を延期した。毎年8千人前後が集まる大人気のイベントだが、今年は来場者を制限した「オンライン併用型」の桐朋祭を実施し、結果的に大成功を収めたという。この桐朋祭、生徒たちがそのほとんどを企画し、運営しているという。

 桐朋の生徒たちの一人ひとりが中高生活の中で「自立心」を培ってきたからこそ、今年の文化祭の成功へとつながったのだろう。「クラスの日」はそんな彼らの成長のきっかけのひとつになったにちがいない。

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