――私も「イクメン」と言われることがありますが、嫌ですね。私は家事・育児の1割も負担できていないと感じているのですが、私が少し育児に関わった場面を見ただけで、「イクメンだね!」なんて言われてしまう。実際はまったくそんなことはないので、「イクメン」という肩書を与えられても、プレッシャーを感じるのです。

高橋:それだけ、男性が育児に関わることが社会的にはまだまだ珍しい現象だということですよね。記者さんとしては、どのくらい育児に関われれば満足できますか?

――やはり妻と均等に負担するのが筋かとは思います。妻はいまでこそ育休中ですが、保活が完了すれば仕事に復帰する予定です。いまのうちから5:5の分担に慣れておかなければいけないと考えてはいるのですが…。

高橋:「妻と平等に育児を分担するべきだ」と考える人が出始めているだけでも、大きな変化だと思います。いま管理職にいる世代は、がむしゃらに長時間働くことが是とされ、評価されてきた人たちも多いと思います。マインドチェンジは大変です。私にも、そうしたマインドが染みついています。ただ、後悔している人もいるはずです。いまは男性の育児が当たり前になっていく変化の狭間の時代なのでしょう。だからこそ、現役の子育て世代として私たちが踏ん張らなければいけないところだと思います。

――実は先日、家族と公園に行くとき、つい「今日は家族サービスするよ」なんてぽろっと言ってしまったんです。妻に激怒されてしまいました…。いまでは反省していますが、「家庭のことは女性の仕事」だという価値観が、まだまだ私の中にあるようです。

高橋:ありがちですね(笑)。性別役割分担の意識はまだまだ根深い。長時間労働のような働き方もなかなか変わりません。それでも、ひとりでも多くの父親が少しずつ行動を起こすことで、「イクメン」という言葉はいつか死語になる。父親が父親として多くの時間を当たり前に過ごすような社会は、夢物語ではないはずです。

 お恥ずかしい限りですが、これだけ言っておいて私はまだ育休をとったことがありません。ダメダメ夫ですね。2人目が産まれたら、次は絶対に取ろうと思っています。男性も育児に関わろうと記事を書いているのに、「高橋は言っていることとやっていることが違うじゃないか」と読者から叱られてしまいますから(笑)。

(聞き手・AERA dot.編集部/井上啓太)