さらに、それだけ覚悟がいる仕事だということが、広くは理解されていない。幾重にもデメリットばかり。
そこに歩を進めるには、恩返しなり、使命感なり、矜持なり、何かしらのワードで自分を鼓舞するしかない。
2018年には大会後に審査を務めた上沼恵美子への不満を出場者が動画で生配信するという騒動もあった。
その結果、騒動の8日後に収録された読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」には大きな注目が集まった。
同番組には僕も数年間出演していて、その日も出演者としてスタジオにいたが、間違いなく言えることが一つ。収録は、爆発的に面白かった。
その日の上沼の発言は全て“160キロのど真ん中ストレート”。上沼のトークを間近で聞いている者として、火の出るような直球から、芸人としての矜持、審査をするということの重みをこの上なく感じた。
「M-1」は2001年の第1回大会の1回戦から取材してきた。特に、第1回大会には、今でも忘れられない“決闘”にも似た張り詰めた緊張感があった。
他の賞レースとは明らかに違う殺伐とした空気。食うか食われるか。時を経て、今はかなりポップな空気も加味されているが、スタート時の香りも多分に残る場だからこそ、力のあるスターが生まれるのだと確信している。
関わる者全てが、それぞれの人生をかけた戦い。
12月20日が楽しみでもあり、恐ろしくもあり。でも、楽しみに待ちたいと思う。