それから、この本で扱った中で面白かったと思うのが、藤原弘達さんです。藤原弘達という人が、創価学会や田中角栄の圧力に屈せず、言論を守った人だって言われてきたんだけれども、実は去年出版された志垣民郎さんの『内閣調査室秘録』の中において、藤原さんが内調との関係が非常に密接だったということが出てきました。
私自身、過去にやってきた仕事と合わせて、皮膚感覚でわかるんですよ。なるほど、こういうことって国家ってやるからな、と。だから、あのときの創価学会の力は国家にとって相当の脅威だったわけですね。
澤田:国家にとって創価学会は、あんまり経験したことのない団体だと思うんですよね。
佐藤:そう思います。創価学会の面白さや謎というのはそこなんです。今でも創価学会って、国家もよくわからないところがあると思う。それはやっぱり、宗教と政治っていうものが重なるところもあれば、重ならないところもあるということ。
それから、創価学会もいま過渡期にきている。2014年という年が、実は創価学会にとってすごく大きい年だったと僕は思うんですよ。一つは、公明党の結党50年で、再び池田大作氏の名前と顔が出てきた。これ、唐突なんです。それまで出てこなくて。公明党の50年党史で突然出てくるんです。
それと同時に、教義条項の改正というのがあって、大石寺(たいせきじ)にある本尊との関係を断ち切るということをやったんですよね。翌年に、この教義条項をどういうふうに読むかっていうことで、江戸時代に日寛という非常に重要な指導者がいたんですが、この「日寛教学」の見直しに入る。それから「勤行要典(ごんぎょうようてん)」という、彼らが朝晩祈念する文章の中に、牧口常三郎、戸田城聖、池田大作っていう3人の名前が入った。そしてそのあと、創価学会の憲法に相当する「会憲」を作り、創価学会インタナショナル(SGI)のネットワークとしての位置付けを整備する。その基点が2014年だと私は見ています。