


皆さんは子どもの頃、水の中をスイスイ泳ぐ魚を見て、「こんなにスイスイ泳げたら気持ちいいだろうなぁ」と思ったことはありませんか? 筆者は水泳があまり得意ではないので、水族館で水中を自由に泳ぎ回る魚たちをみて、うらやましく思っていました。
でも中には、泳ぎがあまり得意ではない魚もいるんです。
「泳ぎが苦手な魚」と聞いて、まず皆さんはどんな魚を思い浮かべますか? マンボウと思った方も多いのではないでしょうか。マンボウの、典型的な魚の体形とは程遠い愛嬌のある風貌は、どうみても泳ぎが得意そうではありませんよね。
彼らは飛行機の翼のような大きな背ビレと胸ビレを羽ばたかせて泳ぎますが、その速度は通常は時速2キロから3キロ程度で、人が歩くより遅いんです。
でも本気になったら、時速8キロ程度では泳げるようです。時速60キロから70キロで泳げるマグロやカツオなどのスピード自慢に比べると足元にも及びませんが、これでも自由形の競泳選手並みですので、まぁまぁのスピードではないでしょうか。
ただ、彼らは方向転換が苦手で、水族館で飼育していても、水槽の壁に激突して死んでしまうことがあるそうです。
表層から水深200メートル程度の海中を泳いで暮らしている魚を遊泳魚といい、主に岩礁や海底の近くで暮らしている魚を底生魚といいます。マンボウは遊泳魚の中では泳ぎが苦手な部類に入るんでしょうね。
余談になりますが、イルカやアシカ、ラッコなどの海中で暮らす哺乳類も泳ぎが得意で、水中をスイスイ自由に泳ぎまわっていますよね。
でも実はラッコはアシカなどに比べて、あまり泳ぎが得意ではないんです。ラッコは主にサザエやアワビなどの貝類を食べていますが、それは、泳ぎが得意ではないので、魚を捕まえられないからと言われています。
水中で息を止めていられる時間も、アシカなどが軽く10分以上は息継ぎなしで潜っていられるのに対して、ラッコはせいぜい1~2分と言われています。
その他にも、夜には海流に流されないように海藻を体に巻きつけたり、お互いに手をつないだりして眠り、8億本から10億本あるといわれている体毛の毛繕いをきちんとしておかないと浮力が失われて溺れてしまうなど、ちょっと可愛くて意外なエピソードがいろいろとあります。