ソフトバンクが今年になって発表した社内の報奨金制度。英語能力試験「TOEIC」で900点以上をとった社員に100万円を支給するというものだ。TOEICは990点満点だから、報奨金を狙うには相当な英語力が必要だが、英語をマスターしたい人にもそうでない人にも、強力な動機づけになることは間違いないだろう。自分の会社にもこんな制度があれば…と思っている人も案外多いかもしれない。

 日本での英語教授経験が25年以上、著書も多数あるデイビッド・セイン氏は著書『その返事、ネイティブはイラッとします』のなかで、日本人が当然のごとく発する言葉に疑問を投げかけている。

たとえば、あいさつの基本「How are you?」に対する答え。私たちが中学英語で習ったのは、「I’m fine,thank you.And you?」とするものだが、「調子はどう?」とういう問いに「I’m Fine.(元気です)」ではあまりにもそっけないとセイン氏は言う。

 氏がすすめるのは、「Couldn’t be better!(バッチリです)」という言葉。同僚、上司、顧客すべてに失礼なく使用できる愛想の良い返事ということだ。ネイティブが使うフレーズを会話に織り交ぜられたら、相手の受け取り方も変わってくるだろう。

ネイティブが別れ際によく使う「Let’s have a good day.」(いい1日を)という言葉。「Okay.」だけでは、「わかったよ。仕方ないね」という意味にもとられかねないのだとか。「Okay,sure.」(はい、もちろん)、最初にOhをプラスする「Oh,okay.」(はい、わかりました)を使うだけでグッと印象が変わるそうだ。

ビジネスで頻繁に英語を使う人以外は、TOEICで高得点を狙うよりも、こういったちょっとした返事や言い回しを知っていたほうが楽しいかもしれない。また、こんな日常会話の基礎を知ることが、英語をマスターしたいという欲求につながっていくのではないだろうか。