通勤時間はつい居眠りしたくなるが、本来体温が上がる夕方に眠ってしまうと、体温リズムが狂い、夜間の睡眠の質に影響する(撮影/写真部・馬場岳人)
通勤時間はつい居眠りしたくなるが、本来体温が上がる夕方に眠ってしまうと、体温リズムが狂い、夜間の睡眠の質に影響する(撮影/写真部・馬場岳人)
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AERA 2020年11月23日号より
AERA 2020年11月23日号より

 体温は1日のうちでも1~1.5度も変動している。体を動かすときには体温が高いほうが活発に動けるし、反対に、休息するときには低いほうがいい。このリズムを知り、整えることで、集中力や睡眠の質が大きく変わることがわかっている。AERA 2020年11月23日号は「体温マネジメント」を特集した。

【グラフ】朝食を毎日食べると起床時と就寝時の体温はどのくらい変わる?



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 体温のリズムを整えるにはどうしたらよいか。脳や睡眠について多数の著書がある作業療法士の菅原洋平さんはこう話す。

「体温は上げるべき時間帯にしっかり上げれば、あとは自然に下がります。下げることは考えず、上げることだけ考えれば大丈夫。そしてもっとも体温を上げるべき時間帯は、夕方です」

 まずは夕方から、1日の流れを見ていこう。

■夕方/居眠りはNG、運動して体温を上げる

 起床11時間後、6時に起床する人なら17時、深部体温はピークに達する。体の活動性が最も高まる時間帯だ。スポーツ選手のベストレコードも、この時間帯に多い。

 この時間帯は、体を動かしてしっかり体温を上げることが重要。そして、もっともしてはいけないのは、居眠りだ。

 神奈川県に住む公務員の女性(36)は、4年前に職場から電車で1時間40分かかる郊外にマイホームを購入した。通勤時間は睡眠時間にすればいいと思い、17時過ぎから19時近くまで、電車でウトウトするのが日課になった。帰宅してから家事などをして24時には就寝、起床は午前6時。これにプラスして電車のなかで寝ているのだから、睡眠時間は十分なはずだ。ところが、朝起きても疲れが取れず、日中も頭がすっきりしない。夜も布団に入っても寝つけないことが増えた。

 そんなとき、「夕方は寝てはいけない時間帯」と聞き、帰りの電車で寝るのをやめてみた。すると、朝の目覚めがよくなり、日中も頭がすっきりするようになったという。

「以前は通勤電車で居眠りせずにはいられないほど疲れていましたが、今はその必要がなくなり、通勤時間には仕事の情報収集をしています」(女性)

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