■7都道府県で40%以上

 予想通りに冬場に訪れた感染拡大。12月1日現在の累計感染者約14万8千人のうち、約3分の1は11月が占めている。月別で最も死者数が多かったのは5月の477人だが、11月も373人と2番目だ。

 都道府県ごとに医療機関の逼迫の度合いはどうなっているのか。厚生労働省が新型コロナ対応病床の状況を公表している。

 11月25日現在で、新型コロナ向けに確保した病床の使用率が最も高いのは兵庫県の68%。分母となる病床の数え方が都道府県によって異なるなど単純な比較はできないが、同県で約1カ月前の10月28日には使用率17%だったことを考えれば、感染者の増え方は明らかだ。

 55%の大阪府では、重症患者の専用施設ができたものの看護師確保のめどが立たない。府内の病院でコロナ患者を担当する30代の看護師はこう話し、危機感をあらわにする。

「第3波では入院の時点ですでに症状が重く基礎疾患がある患者さんが優先されています。一定期間内で亡くなる患者さんもこれまでより多い」

 一方、東京都は40%だ。ただ、地域や医療機関によって事情は異なる。

 集中治療室(ICU)の7床を重症患者の治療にあてている東京医科歯科大学病院では、11月に入ると受け入れ数が増え、最近では常に埋まった状態が続く。感染者の受け入れができないケースも多く、患者のほとんどが人工呼吸器やECMO(エクモ=体外式膜型人工肺)を付けているため、管理のために必要な要員が多く現場の疲弊が続く。(編集部・小田健司)

AERA 2020年12月14日号より抜粋