ただし、勤続6カ月未満の労働者など、一定の労働者は引き続き労使協定により対象外となる場合があります。また、流れ作業など、休暇を時間単位で取得することが難しい業務などの場合は、認められない可能性もあります。

 なお時間単位で利用できる有給の看護休暇制度や介護休暇制度を導入し、休暇を取得した労働者が生じたなど要件を満たした事業主は、「両立支援等助成金」の申請をすることができます。

■話題の児童手当、支給制限額の「世帯での合算」は見送りに

 最後に、来年の話ではありませんが、ここ最近ニュースなどで話題になっていた児童手当、高齢者医療費についてまとめておきます。これらの施行はいまのところ、2022年と見込まれています。
 
 児童手当は、子どもが生まれてから中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)、その子を育てている人に支給される社会保障です。子どもが複数の場合も人数分支給されます。
 
 支給額は以下のようになります。

【現状の児童手当の支給額】
子どもが3歳未満:1万5000円
3歳以上~小学生:1万円(第3子以降は1万5000円)
中学生:1万円
受給者の所得が限度額以上:5000円(特例給付)

※すべて月額
 
 今回、この世代の子を持つ親の間で話題となっていたのは、受給者の所得制限です。現在の所得制限は以下のようになっています。

【現状の児童手当の所得制限】
扶養親族数       限度額(所得)
0人                     622万円
1人                     660万円
2人                     698万円
3人                     736万円  など

 この所得制限は、子どもを育てている父親か母親の「どちらか所得の多いほう1人」の額ですが、これが「世帯収入を合算」に変更される可能性が報道されたため大きな話題となっていました。最近の共働きが当たり前となっている状況では、合算になると児童手当が減額、または対象外になる家庭が間違いなく増えるためです。児童手当の縮小はずっと大きな問題となっている「待機児童」を解消する予算のためとみられています。

 今回の改正では、いまのところ「世帯で合算」「特例給付の廃止」は見送られているようです。12月15日の閣議決定では、合算ではなく受給者1人が年収1200万円以上の場合、児童手当の対象外という内容になっています。

 ただ今後、児童手当がもし世帯合算となったり、更に縮小するようなことがあれば、はたして保育園に入れてまで働きたいと思うのか、女性活躍推進や少子化対策(不妊治療の助成額倍増や保険適用が現在政府で検討されています)の足をひっぱることになるのではと、心配が残ります。

 また医療費の改定ですが、75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担について、単身世帯で年収200万円以上は2割負担という内容になっています。これらの内容は、2021年の国会で関連法案が審議され決定される予定です。

 次回も引き続き生活を安定させるための社会保障の基礎知識について解説したいと思います。

(構成・橋本明)

※本連載シリーズは、手続き内容をわかりやすくお伝えするため、ポイントを絞り編集しています。一部説明を簡略化している点についてはご了承ください。また、2020年12月15日時点での内容となっています。

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