社会保険労務士の小泉正典さんが「今後いかにして、自分や家族を守っていけばいいのか」、主に社会保障の面から知っておくべき重要なお金の話をわかりやすくお伝えする連載の第16回。今回のテーマは、2021年に改正されることが決まっている労働者の「待遇」や「休暇」についての改正と、最近話題になっている「児童手当」の変更ポイントです。
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勤めている企業によってはすでにご存じの人もいると思いますが、実は2020年の4月1日から全国の大企業で「同一労働同一賃金」が適用されています。
■中小企業でも正社員と非正規労働者の間に「同一労働同一賃金」が適用
この「同一労働同一賃金」は、「パートタイム・有期雇用労働法」によって定められていて、「同一の事業主に雇用される通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間の不合理と認められる待遇の相違及び差別的取扱いの解消並びに派遣先に雇用される通常の労働者と派遣労働者との間の不合理と認められる待遇の相違及び差別的取扱いの解消」(厚生労働省告示から)を目的としています。
簡単に言えば無期雇用・フルタイムの正社員と、契約社員・パートなどの有期雇用の待遇格差の解消を目指したものです。
業務内容や量、責任などが違う仕事であれば給与などが変わるのも当然ですが、ほぼ同じ業務・責任内容で時間なども変わらない仕事をしているのに、正社員と契約社員などで待遇差がある場合、これを是正させる施策です。
この制度が2021年4月から中小企業(資本金・出資総額3億円以下、および常時勤務の従業員が300人以下)も対象とされます。対象とする労働者が、契約社員、有期雇用労働者、パートタイムであることも大企業の場合と変わりません。同じ労働内容の正社員と同様の待遇を与えるべきとされている手当などについて、主なものは以下のようになります。
〇勤務内容の変わらない正社員と同様であることが求められている内容
・基本給
・ボーナス
・通勤手当・出張旅費
・時間外、休日などの手当の割増率
・危険手当など特別な作業内容によって加算される手当
・食事手当
・単身赴任手当 など