雇用者側にとってみれば契約社員、パートタイムなども含め労働者のモチベーションが上がるというよい面もありますが、当然、人件費アップという大きな問題があります。また、法律が施行されたとはいえ、現実問題コロナ禍もあり、すぐにこの待遇格差の問題が完全に解決されるとは少し考えにくい状況です。
施行された内容では契約社員など非正規の労働者が待遇について理由を聞いた場合、会社側はそれについて説明する義務があるとされています。
もし会社と話し合っても納得できる説明がなされない場合は、各都道府県の労働局で労使紛争を解決するための調停「行政ADR(※)」で、行政を間に入れて解決を求めることもできます。
※ADR=Alternative Dispute Resolutionの略で「裁判外紛争解決手続き」のこと
この問題ではすでに裁判に至っている事例もあります。原告が敗訴することもありますが、2020年10月、日本郵便を相手取った契約社員による裁判では、扶養手当や年末年始勤務手当などについて正社員との相違は不合理との最高裁判決も出ています。
ただ待遇差をなくすことが目的のため、場合によっては「正社員の待遇を下げて」非正規社員と同一とすることもあります。「同一」が「水準が上がる」とイコールではないことには注意が必要です。
■育児や介護を行うための休暇が「1時間単位」に
2021年1月1日からは、育児や介護を行う労働者が、子の看護休暇や介護休暇を「時間単位」で取得することができるようになります。看護休暇や介護休暇を柔軟に取得することができるように育児・介護休業法が改正されたことによるものです。休暇の取得単位が1時間に変更されます。
原則、就業時間の途中に休暇をとり、再び戻って勤務する、いわゆる「中抜け」なしの時間単位休暇ですが、中抜けありの時間単位での休暇取得について認めることなど、制度の弾力的な利用が可能となるような配慮も求められています。
改正の内容をまとめると以下のようになります。
【改正前】
・半日単位での取得
・1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は取得できない
【改正後】
・時間単位での取得が可能
・労働時間に関係なく、全ての労働者が取得できる