コロナ禍のなか、御朱印をもらえる寺社への初詣の方法は例年どおりとはいかなくなっている。観光支援策「Go Toトラベル」の全国一斉一時停止で、遠くの寺社に出かける人は前年より減少しそうだ。寺社の多い関西では京阪電鉄をはじめとした私鉄が、首都圏でもJR東日本や東京メトロなど各社が大みそか~元旦の終夜運転を中止するので、元旦の初詣を控える人は多いだろう。
とはいえ、正月の三が日は1年のうちで一番多くの人が訪れる。そのため、各寺社とも手水舎を閉鎖したり、手水舎の柄杓(ひしゃく)を撤去したりするなど万全の対策を講じるとしている。
明治神宮(東京都渋谷区)では、マスク着用や分散参拝を呼びかけると同時に、「例年行っている飲食の店舗出店は中止。ご祈祷(きとう)前に参道に印をつけて人と人の距離を取っていただく、そして授与所を分散し、感染予防策を徹底します」(明治神宮広報調査課)。大みそか~元旦の終夜開門もしない。
また、太宰府天満宮(福岡県太宰府市)もこう呼びかける。
「12月から来年の3月までをお正月と捉えて分散してお参りしていただくようお願いしております」(権禰宜[ごんねぎ]の石川史嗣さん)
一方、石穴稲荷神社(同市)は「ことだまいり」というスマホのアプリを使ったリモート初詣を実施する。方法は、同神社の公式アプリ「アプリでことだまいり」をダウンロードして起動。鳥居が画面に現れ、願い事(ひとことだま)をスマホに向かって言うと言葉の塊が画面に出てくる。それを鳥居に向けてスワイプする(タッチスクリーンを指で押さえて動かす)と、「神社に奉納されます」というメッセージが出て参拝となる。
到着した「ひとことだま」はすべて出力され、宮司が神前に奉納した後、秋季大祭火焚神事でお焚(た)き上げをする。
また、一連の神事をYouTubeでライブ配信する。
「コロナ禍の中で、人々の願いや思いを伝える方法はないかとコピーライターの友人と、書家の幼なじみ、さらにIT関連の友人たちと考え、このバーチャル参拝の方法を考えつきました」