慈しみ深くも、凛とした信念ある女性の育成を目的に創設(写真/学校より提供)
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創設(写真/学校より提供)
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四天王寺病院や京大医学部附属病院の見学を通して、医師の資質を養う(写真/学校より提供)
四天王寺病院や京大医学部附属病院の見学を通して、医師の資質を養う(写真/学校より提供)

 毎年、数多くの生徒を医学部に入学させている高校がある。なぜ、合格を勝ち取れるのか、どんな授業をしているのか。校長先生や進路指導部の先生に、取材をした。4日連続でお届けする第3回目は、四天王寺高等学校だ。

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 荘厳な門をくぐると生徒から「こんにちは」と笑顔であいさつをされた。遠くからは部活動に励む元気な声も聞こえてくる。

 聖徳太子が建立した四天王寺の境内に立つ中高一貫の四天王寺高等学校は、医学部進学率が高い女子校として全国的に有名だ。その理由を大向雅士教諭はこう話す。

「2020年の春、医志コースの1期生が卒業し、コース立ち上げから7年が経過しました。最難関医歯薬系国公立大学の現役合格に向けて、さらにアップデートする段階にきました」

■医志コースで地道に勉強を積み重ねる

 中学1年から学年を4コースに分け、医志コース、英数IIコース、英数Iコース、文化・スポーツコースがある。当然、すべてのコースにおいて医歯薬系を目指す生徒はいる。

「強化クラスの医志コースは、勉強することが生活の中心となります。自分の将来を見据え、真摯かつ地道に勉強を積み重ねる能力も必要です。今後は医志コースを『医志2.0』の新しい段階へ導きたいと考えています。新機軸は『探究学習』。コロナ禍や環境悪化の現実と向き合った今、SDGs(持続可能な開発目標)の重要性を感じながら、医療研究を目指す心構えを育成していきます」

 女子校だが、文系が少ない理系の学校であることも特色だ。入学当初から医師を目指す学生も多く、中学1年時の医志コースは36人程度。しかし、高校1年時には25人ほどになるという。
 
 志が変わったり文転したりする生徒もいるが、進学先がメディカル系でないだけで、京都大学や大阪大学の理学部に入学するという。IoTやAI技術の革新で、医師でなくエンジニアになりたい生徒も増えているのだ。

■ハイブリッドな英語の授業も充実  

 医師になる上で、重要なのは何か。病気を治すのはもちろん、最近では患者に寄り添う心を持ち、多様な考え方ができることも大切だ。

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