――1月2日の4知事との会談の場において、政府側が飲食店などの20時までの営業時間の短縮を強く要請したのはなぜだったのか。

「12月11日の新型コロナウイルス感染症対策分科会において、感染高止まり地域や感染拡大地域に当たる地域においては、営業時間短縮要請の20時への前倒し等を行うよう提言された。
 
 12月23日の分科会においては、『首都圏からの感染の染み出し』が課題となっていることや、感染拡大地域においては、『飲食店を中心として感染拡大していると考えられるため、飲食店などの営業時間のさらなる短縮の要請を含め会食・飲食による感染拡大リスクを徹底的に抑えることが必要』と考えられることが指摘された。

 1都3県においてはその後も人流が減らず、感染が拡大しており、12月31日には東京都の新規陽性者数は過去最多の1337人に至った。大都市圏の感染拡大は、最近の地方における感染の発生にも影響していると考えられ、これを抑制しなければ、地方での感染を抑えることも困難になる。

 このような状況を踏まえ、1月2日の面会では、4知事に対し、専門家が『急所』としている飲食店については、4月~5月の緊急事態宣言時と同等の対応を取り、飲食店(カラオケ・バー含む)の時短営業を20時まで(酒類提供は19時まで)とすること等を要請した」

――新型インフルエンザ等特措法の改正のための国会審議や、緊急事態宣言の発出について、遅すぎたとの声があるが、これについてはどう考えるか。

「新型インフルエンザ特別措置法の在り方については、分科会でも議論を行ってきており、罰則を含めて規制強化をすべきという意見や私権制限に慎重な意見等様々な意見が出されていたため、幅広いご意見を聴きながら慎重な検討を進めてきたところ。

 緊急事態宣言の発出については、20年3月の特措法改正時の附帯決議において、『専門的な知見に基づき慎重に判断すること』『国民の自由と権利の制限は必要最小限のものとすること』とされていることも踏まえ、慎重な検討が必要であり、日々専門家の意見を伺ってきたところ。

 昨年12月23日の分科会においては、『緊急事態宣言を発出する状況にはない』と提言されており、その時点では専門家も緊急事態宣言を発出する必要はないと考えていた。

 その後、12月31日に東京都で1300人を超える新規陽性者が報告されるなど年末年始も感染が拡大しており、特に1都3県の新規陽性者数が全国の半分を占めるなど、首都圏において厳しい状況となった。重症者数も高い水準にあり医療が非常に厳しい状況となった。

 こうした中、1月2日に4知事から、緊急事態宣言の発出の検討要望があり、首都圏の現下の感染状況が緊急事態宣言の発出が視野に入る厳しい状況ということを、国と1都3県で共有し、様々な事態を想定し検討してきたところであり、1月5日の分科会において、『まさに今、緊急事態宣言を発出する時期に至ったと考える』と提言をいただき、基本的対処方針等諮問委員会での議論を経て、緊急事態宣言の発出を行うものである」

(本誌・西岡千史、上田耕司/今西憲之)

週刊朝日  2021年1月22日号に加筆

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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