今回の緊急事態宣言の効果自体を疑問視する声もある。ある閣僚関係者は「強制力のない今の緊急事態宣言では、再発出しても感染者は減らない」と嘆く。コロナ対策を担当する官僚の一人がこう話す。

「私権制限の必要性は昨年から指摘されていて、野党も昨年12月に臨時国会を延長して早期に法改正するよう求めていた。早々に国会を閉じて今に至るまで対応を怠ってきたから、今回の緊急事態宣言では強制力を伴う時短要請や外出制限ができなかった」

 政府はコロナ対策の根拠法となる新型インフルエンザ等対策特別措置法を18日に開会する通常国会で改正する考え。本来は2月上旬に改正特措法を成立させてから再発出をして「見せ場」をつくるシナリオだったというが、考えが甘すぎた。迷走を続ける菅政権に、打開策はあるのか。

「菅首相には側近がいない。本来なら頼りにすべき加藤勝信官房長官も信頼していないから、情報も権限も与えない。首相一人ですべてを決めるワンマン体質で、それが政府の対応の空回りに拍車をかけている。この政権は、今では内閣支持率しか見ていない」(前出の官邸関係者)

 西村氏に内閣府の広報担当を通じて小池氏ら4知事との対立になどについて尋ねると、文書で回答があった。以下、その内容を掲載する。

――1月2日の面会で、当初、小池都知事と首都圏3県の首長は当初、菅首相と面会を求めていたが、結局、西村大臣が会うことになったのはなぜか。西村大臣が拒否したのか。

「ご指摘のように、西村大臣が総理との面会を求める4知事の提案を拒否したという事実は一切ない。日頃から、4知事とは、累次にわたり面会や電話会談を行うことなどを通じ、緊密に連携をとりあっており、今回は、特措法担当大臣である私が、感染状況等の現状を共有し、講じるべき対策について意見交換を行うこととしたものである」

――政府側と4知事の間に政治的対立があることで、コロナ対策に遅れが生じているという指摘もあるが、これについてはどう考えるか。

「4知事とは、累次にわたり面会や電話会談を行うことなどを通じ、緊密に連携をとりあっており、1月2日の面会においても、1都3県の感染状況等を詳細に伺うとともに、今後の対策について十分に時間をかけて意見交換を行った。その結果、飲食店における時短営業、企業におけるテレワークの徹底、職場、学校での感染防止策の徹底、イベントの開催要件の厳格化の4点からなる合意事項をとりまとめ、共同で記者発表したところである。このため、『政府と4知事との間で対立が起きている』との批判は当たらない」

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「遅すぎた」批判に対する西村大臣側の回答