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 2020年から続く新型コロナの猛威や影響は、2021年も続いています。2度目の緊急事態宣言は多くの業種にとって大打撃です。夜20時までの時短営業は、飲食業にとっては相当なダメージです。夕方に営業する場合、家族連れを対象とした飲食店以外は、利益を出すのが難しい営業時間となります。観光地では宿泊客のキャンセルが相次ぎますし、観光地の高級路線のホテルやレストランの場合、地元の人々の利用を促すのも難しいです。昨年からあらゆる業種の人々が改めて実感したのは、「この世に安定なんてない」ということではないでしょうか。今このコラムを読んでいる方々のなかにも、ご自身やご家族が厳しい状況にあっている人は少なくないと思います。

「たかだかYouTuberに苦しさがわかるのか」と思われるかもしれませんが、YouTuberほど不安定な仕事はありません。YouTuberの人気は水物ですが、それ以上に怖いのは、広告収益はプラットフォーマー(Google)のサジ加減で没収されたり単価が大きく変わったり、ルールが変更されることです。人気は自分でコントロールできるとしても、プラットフォーマーであるGoogleの規約やYouTubeのアルゴリズムは不可抗力です。6年以上YouTuberをしていますが、今までに広告の単価が9割落ちたこともありますし、広告を剥がされたこともあります。再生回数がガクッと落ちることは日常茶飯事ですし、ガイドラインの変更により動画が削除されたり、自主的にヒット動画を5億回分削除したりしたこともあります。直近でも、私ではありませんが「無効なトラフィック」という判定エラーで2カ月分の収益が没収されたYouTuberもいます。不測の事態は常に起こりうるので、常に最悪の事態を考えながら仕事をしています。

 実店舗を経営していて、ある日突然法律が変わったり、在庫が処分されていたり、売り上げが消えていたり、店舗の移転を求められたり、店舗がなくなることは、普通は起こりません。。YouTubeだと、チャンネルや動画が消えたり、広告収益がなくなったり、ガイドラインの変更は起こります。新型コロナが発生する前は、飲食店やサービス業の経営者や不動産投資をするママ友の旦那さんや公務員の方々を羨ましく思っていました。YouTubeで稼いだお金で飲食店をオープンしようと画策していた時期もあります。しかし新型コロナが発生し、「最も不安定な職種」のひとつであるYouTuberが、コロナの影響を受けにくい仕事として注目されたので、世の中や時代は生々流転なのだと実感しました。どんな仕事に就いても、「安定なんてない」のだと思い知りました。

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