
ソフトバンクの日本シリーズ4連覇で幕を閉じた昨年のプロ野球。これでソフトバンクは過去10年で7度の日本一と黄金時代を迎えているが、2016年は日本ハムが日本一に輝き、2018年と2019年のレギュラーシーズンでは西武が連覇を果たすなど、パ・リーグで完全に一強というわけではない。
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一方、苦しいのがセ・リーグの6球団だ。2000年代は巨人が3回、ヤクルトと中日が1回ずつ日本一となり、セ・パの勝敗も5勝5敗と拮抗していたが、2010年以降の11年間では2012年の巨人しか日本シリーズを制していない。2005年から始まったセ・パ交流戦(2020年はシーズン短縮のため中止)にいたっては、15回のうちパ・リーグが14回勝ち越しとなっている。両リーグを「セ・パ」の順ではなく「パ・セ」に変更すべきだという声が挙がるのもやむを得ない状況と言えるだろう。果たしてこのセ・リーグの閉塞感を打ち破ることができるチームはどこになるのか。現在の戦力と将来性から探ってみたいと思う。
まず今シーズンの戦力を考えると、やはり巨人が一歩リードしているように見える。岡本和真が主砲として完全に一本立ちし、坂本勇人と丸佳浩の二人もまだまだ健在。吉川尚輝、松原聖弥という脚力のある二人の成長も大きなプラスだ。投手陣ではエースの菅野智之が残留したことが何よりも大きい。昨年が実質1年目だった戸郷翔征の“2年目のジンクス”と、先発もリリーフも外国人への依存度が高い点は気になるものの、大きな戦力ダウンはなく、シーズンを通して戦えるだけの顔ぶれは揃っている。
しかしその一方で3年後、5年後を考えると不安要素は少なくない。投手では菅野のメジャー移籍の可能性はまだ残されており、野手では坂本、丸の後釜問題が浮上してくる。投手についてはスケールの大きい素材型の選手を多く獲得して将来に備えているように見えるが、守備力が高く長打も期待できる坂本と丸の後継者はそう簡単に出てくるものではない。以前の巨人であればFAで他球団の主力を獲得して埋めるという発想だったが、ここ数年の流れを見ているとそのような補強も難しくなってきている。岡本に続く野手の太い柱をいかに早く確立できるかが、大きなポイントと言えるだろう。