久道:散歩する習慣を作ってほしい。コロナは外にいれば感染するというものではありません。ただ道を普通に歩く分には問題がないということが、これまでの経験からも明らかになっています。

大谷:なるほど。特別な運動が必要なわけではないんですね。

久道:歩行というのは、食事で言うとパンやご飯など「主食」に該当する行為です。向こうから人が来た、歩くところに段差があるといったことに反応する行為自体が、体力と同時に反射能力や知力を鍛えることにつながります。ジムに行ったり、自分でトレーニングをしたりしている方も多いと思うんですが、医学的に見るとそれらの運動はあくまでサプリ程度であり、歩行を中心とした日々の活動こそ主食です。だから特殊なトレーニングを積むよりは歩く習慣を作ることのほうが効果的だと思います。

大谷:私がよく顔を合わせるおじいちゃんおばあちゃんの中には、家から決して出ようとしない人もいます。そういう方々はどうすればいいんでしょうか。

久道:ひきこもり習慣がついてしまったお年寄りを引っ張り出すというのは、本当に難しいことです。今、私の病院で「足から健康を支える」をテーマにYouTubeチャンネルを開設していますが、もっとも初歩的なエクササイズは立ち上がれない人に向けて紹介しています。まずはそれを見て、筋力をつけるところから始めていただきたいと思います。

大谷:家の中でもできることはありますか。

久道:一つ挙げるなら、アキレス腱のストレッチです。関節可動域、特に足関節の可動域が十分保てていないといろんな所に故障が出てきてしまう。家の中でアキレス腱を伸ばすだけなら誰でもどこでもできますから。

大谷:私、歩くことに本当に関心があって、今も歩数計をつけているんですよ。今、コロナ禍で運動不足にならないように、毎日1万歩ぐらい歩くようにしています。朝5時から6時までのお勤めで平均約2500歩。境内に出て1日仕事すると1万8千歩くらいです。自分の体を少しでも使って歩くようにしています。毎日、寝る前に歩数計が何歩だったかというのを見るのが楽しみなんです。

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