僕の連載「会社観光」は、気になる会社にアポなしで行って、守衛さんの目を盗んで中に侵入して、会社の中を見て回るという、今の時代だと捕まっちゃうような企画です(笑)。毎回、飛び込み取材ならではのスリリングさが伝わるように書きました。会社だけじゃなくて、例えば僕が入院したときは、病院の中をテーマにして書いたり、1993年、記録的な冷夏で米が不足したときは、食糧庁に侵入して食堂のゴハンを偵察しに行って、時事的な要素を絡めて書いたり、工夫しましたよ。週刊ペースで書くというのは結構大変だったけれど、あれはなかなか楽しい仕事でしたねえ。
同じ潜入取材という視点で、「恨ミシュラン」もおもしろかったですね。名店と言われる店をこき下ろしたりして、読んでてすごく痛快でした。こうして考えてみると、「週刊朝日」って毒がある過激な企画が結構載っているんだけれど、全体としては品の良い安心感のある感じにまとまっているという、何とも不思議な雑誌ですよね(笑)。
※週刊朝日 2021年2月12日号