ただでさえ外出が減りがちな冬。コロナ禍によるステイホーム期間が長引き、体のなまりを感じている人は少なくないのでは。だが、運動不足による筋力の低下を放置すれば、やがては命のリスクにつながる。そこで注目されているのが「貯筋」だ。貯金するように筋肉を増やして体に貯めていく「貯筋」術を専門家に聞いた。
貯筋のためのトレーニングは自分自身の意志さえあれば、自宅やちょっとした外出先で日々、積み重ねていくことができる。しかも、アスリートのような苦行は必要ない。簡単なメニューを日々、コツコツとこなしていくことが大切なのだ。この貯筋の提唱者にして、30年にわたって日本人の体力を計測してきた東京大学名誉教授の福永哲夫氏はこう語る。
「貯筋運動は一人で1日15分トレーニングをすればいいのです。貯筋運動はサッカーや野球のようなスポーツではありません。いつでもどこでもできます。問題は筋肉を使うか、使わないか。体に対してちょっとだけキツいことをやればいいのです」
福永氏おすすめのトレーニングは、中腰になって尻を浮かせる「空気イス」。たとえばテレビのCMが流れる1分間、「空気イス」の姿勢を保ってみる。パソコンやスマートフォンの画面を見ながらでもいい。1回1分を、1日10セット行う。また、座りながら両足を浮かせて腹筋に刺激を与えたり、電車でつま先立ちしてふくらはぎを鍛えたりする運動も、お手軽で効果的だという。
足腰だけでなく、体幹やのどの筋力をアップさせることも重要だ。原宿リハビリテーション病院の稲川利光副院長はこう語る。
「体幹を鍛えるトレーニングの一例として、四つん這いの姿勢で手足を上げるストレッチがおすすめです。体幹は腹筋と背筋の強化が必要で、腕立て伏せや姿勢を正したスクワットも有効。普段の生活では、スマホを使いすぎないことや、なるべくエスカレーターやエレベーターを使わず階段を上ることを意識しましょう」