懸命に働く医師たちの姿を通して、もし子どもが医師を志したら親はどうすればいいのか。受験情報だけでなく、各大学の学費もしっかりと把握しておきたい。『医者と医学部がわかる2021』(朝日新聞出版)では、「医学部に合格するための確実な方法」や学費・志願者数・医師国家試験合格率などの最新データを集めたランキング、受験にも役立つ「国公私立82医学部データブック」など情報満載だ。
今回は「医学部進学 現実的マネープラン」という企画から、奨学金や大学独自の制度、教育費の貯め方を紹介する。
手持ちの資金が足りなければ、奨学金を検討する。奨学金には返済の必要がない「給付型」と、返済の義務が生じる「貸与型」とがある。枠は少ないがまずは給付型、次に無利子の貸与型を検討しよう。私立大学には成績優秀者を対象とした「特待生制度」を設けている大学も多い。
「国際医療福祉大学の特待奨学生に選ばれると入学金、授業料を合わせて6年間で1550万円の給付を受けることになり、実質学費は300万円程度とかなり抑えられます。対象人数は50人程度と枠が広いので、大いにチャンスはあります」(医系専門予備校メディカルラボ本部教務統括・可児良友さん)
一定期間(通常は修学年の1.5倍にあたる9年間)、指定の医療機関に勤めると学費の返済が免除となる「地域枠」を設けている大学も多い。弘前大学1年生のH君も、AO入試(総合型選抜)の地域枠で入学した。自治体から4万円の奨学金を受け、アルバイトで3万~4万円の収入を得ており、親からの仕送りは3万円程度ですんでいる。
「朝夕の食費と光熱費込みで寮費が4万2千円程度。テキストは先輩から譲り受けているので、10万円あれば十分暮らしていけます」(H君)
妹と弟がいるので、親に負担をかけたくないという。
「もともと地域医療に貢献したいという思いがあったので、卒業後9年間指定病院で働くことにデメリットを感じたことはありません」(同)