大学と連携して地域枠を設けている自治体も多い。東京都は順天堂大学、杏林大学、東京慈恵会医科大学の学生を対象に都が指定した診療科や医療機関に9年間勤務すると、入学金と6年間の授業料、生活費として貸与された720万円が全て免除される。
学費が免除、または減免される大学もある。自治医科大学は指定された医療機関に9年間勤務、防衛医科大学校は9年間自衛隊に入隊すれば、学費が全額免除される。しかも、防衛医科大学校は学生が防衛省職員の扱いとなり学費が無償になるだけでなく、月給のほか年に2回期末手当も支給される。産業医科大学は9年間産業医等として従事すると、貸与を受けた全額が返還免除となり実質1130万円程度となる。ただしこれらの大学は9年間の職務を途中で放棄すると、学費を一括返済しなければならないので、十分に考慮することが大切だ。
貸与型で有名なのは、日本学生支援機構の奨学金だ。有利子の第二種は、私立大医学部に進学すると月に最大16万円まで借りられる。また、貸与型の奨学金は、大学や自治体でも設けている。
「奨学金を利用する場合は、募集期間といつ支給されるかも確認しておきましょう。募集時期が決まっており、見逃してしまい後であわてる受験生が少なくありません」(ファイナンシャルプランナー・竹下さくらさん)
奨学金で足りなければ、教育ローンに頼ることになる。国の教育ローンは350万円まで借りられ、金利は低いが基準が厳しい。
民間は金融機関によって異なり、基準が緩い代わりに金利が高めに設定されている。
「借りたお金はいずれ返さなくてはいけません。返済ができず生活が破綻する場合もあります。研修医のうちは収入もそれほど多くありませんから、借り入れは最低限にとどめておくことが大切です」(同)
竹下さんによると教育資金をためるのは、小学生のときがチャンスだという。
「小学校は学費もそれほどかからないので、貯金に回せる。毎月手取りの15%は教育費として積み立てておくのが理想です」(同)