「先輩たちは、大学に行けば『リクルートスーツ姿が急に増えたな』とか全体の動向を感じられたでしょうし、友だちと『そっちはどう?』みたいな話ができた。でも僕たちはコロナでキャンパスに行くことすらできないので、周囲の動きがまったく見えない。孤独な戦いです」

「友だちとはLINEで連絡はとっていますが、就活の話題が出ることはほとんどありません」と話すのは、明治大の女子学生。直接会っていれば自然に話せることも、わざわざメッセージするとなると、お互いどこまで踏み込んでいいのかわからないのだという。

 コロナ以前から就活の早期化や通年化は始まっており、ひと昔前のように、周りの就活生と同じ時期に同じような活動をしていればなんとかなるという「正解のパッケージ」はなくなった。それでもこれまでは、身近な友人や先輩、大学の先生と直接話をしたり相談したりすることで、自分の立ち位置を確認し、不安を和らげることができた。その環境が22卒生にはない。

 採用コンサルタントの谷出正直さんは言う。

「個人の行動や責任に委ねられる部分が大きくなっているため、格差が拡大しています。いま大事なのは、必要な情報を自ら取りに行き、判断し、能動的に動けるかどうかです」

 周りの動きがわからないからこそ、高校の同級生、バイト仲間、サークル仲間とLINEのグループを作り、積極的に情報共有を始めているのは早稲田大の男子学生。

「OB・OG訪問アプリを使っても先輩が見つからなければ、自分で会社に連絡して紹介してもらっています。生の情報は、ネットには載っていない貴重なもの。友だちと共有すれば、情報量は2倍、3倍になります。受験は個人戦でしたが、就活は団体戦だなと感じています」

 孤独に悩んでいた前出の明治学院大の学生もいまは、話題の音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」の活用を始めた。同サービスに登録している企業の人事担当者らをフォローし、彼らが採用について語り合う「ルーム」をのぞいたりしている。

暮らしとモノ班 for promotion
「集中できる環境」整っていますか?子どもの勉強、テレワークにも役立つ環境づくりのコツ
次のページ