「ついさっきまで『次はこれをやろう』と思っていたことが、一つ動作を挟んだ次の瞬間に『あれ、何しようとしていたんだっけ』と忘れてしまうことが増えてきたんです」
千葉県に住む女性Yさん(58)はこの1年ほどで、物忘れが加速してきたと感じている。同世代の友人たちとも、人の名前がすぐに出てこない、という話に必ずなる。
「以前より脳を働かせていないのかもしれない」
加齢に伴う視力の低下で、好きだった読書の量が減り、脳に十分な刺激が与えられていないのではないか。ゆくゆくは認知症になるのではないか、と案じる。
『1日1杯 脳のおそうじスープ』(アスコム刊)の著書がある脳神経内科の内野勝行医師がこう指摘する。
「40、50代から脳機能の衰えは進んでいきます。脳にたまっていく“ゴミ”を放置すれば、衰えは加速していく一方です」
“脳のゴミ”とは、アミロイドβというたんぱく質の一種。脳神経細胞を破壊、死滅させ、認知機能を低下させる毒素だ。近年の研究で、認知症はアミロイドβがたまり続けることで引き起こされることもわかっている。
さらに、アミロイドβは認知機能だけではなく、免疫力も低下させるというからやっかいだ。このコロナ禍では、なおさらなんとかしたい。
ゴミを取り除くには、やはり掃除。内野医師は「除去や弱毒化に有効なのは食事。栄養バランスの取れた食事をとれば、脳はきれいになる」と話す。とはいえ、食生活を急に変えるのは難しく、凝った料理は面倒だ。そこで内野医師が薦めるのが「脳のおそうじスープ」だ。
「脳の掃除をするために必要な栄養素を含んだ食材をちぎって混ぜ、お湯を注ぐだけの簡単なものです。1日1杯、長く飲み続けてください。数カ月続ければ、認知機能は改善されていきます」
脳にゴミをためる原因となる活性酸素。これを除去するリコピンを含むトマトや、同じく抗酸化成分のアスタキサンチンが豊富な桜えびなど、脳の掃除に効果的な食材がたっぷり入ったお手軽料理だ。