前者のmRNAワクチンは、新型コロナ対策で急速に開発が進み、ワクチンとして承認されるのは初めてです。
こうした新しいワクチンに不安を感じるのは当然のことでしょう。
しかし、現在の新型コロナに対する人々の過剰な恐怖心は、ワクチンでしか収まらないと思っています。ワクチンの本当の効果は、社会を停滞させる恐怖心を沈静化させることだともいえます。
ですから、ワクチン接種の一つの基準を提案したいと思います。新型コロナが怖い人、それがワクチンの不安を上回る人は接種しましょう。怖くない人は、ワクチンなしでいいです。でも新型コロナは怖いし、ワクチンも不安だという人もいます。こういう人にはワクチン接種を勧めます。ワクチンで死ぬ確率より、新型コロナで死ぬ確率のほうが高そうだからです。
ちなみに私は新型コロナが怖くありません。でも病院から「帯津先生に率先してもらわないと」といわれて接種することにしています。
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中
※週刊朝日 2021年3月19日号