2016年に創設されたばかりの通信制・N高が、東大の学校推薦型選抜で3人を推薦し、初めて合格者1人(工学部)を出した。
「本校には飛び抜けている生徒が多いです」
こう話すのは吉村総一郎副校長だ。合格した生徒はプログラミングの技術を競う世界大会で活躍をしていたという。
「セキュリティーの難問や高度な数学の問題を解くのが好きな生徒でした。周りの生徒らを巻き込んで大会に参加するなどコンピューター部で活躍し、行動力もありました」
ほかにも、フィギュアスケートの紀平梨花選手や人気音楽家のSASUKEさんら、“尖(とが)った”生徒たちが集まる。
講師・コーチ陣も強みだ。アスリートクラスでは元サッカー日本代表監督の岡田武史さんらが名を連ねる。ゲームの技術を競う「eスポーツ部」には元プロ選手がいる。
「飛び抜けた生徒を指導するには尖った指導者が必要。これまでの学校や部活にはない多様でレベルの高い教育を提供しています」(吉村副校長)
創設時に1500人だった生徒数は1万5千人を超えた。コロナ禍でオンライン授業が広がったこともあり、今春の入学者は昨年を上回る見込みだ。東大の一般選抜でも昨年初めて合格者(理科一類)が出た。難関大を目指す特進専攻に入る生徒は増えており、さらに実績を伸ばしそうだ。
吉村副校長はこう語る。
「いま求められている人材はペーパーテストだけができる人ではない。急激に変わる社会に合わせて成果の出せる人です。そのためには自分のユニークな能力を磨き、武器にすることが重要なのだと考えています」
(本誌・吉崎洋夫)
※週刊朝日 2021年3月26日号