――学校全体、ひいては社会全体に広げていくには、どのような働きかけが必要ですか。
もちろん教育を担う国から働きかけがないとダメだと思いますが、学校の中で教育が充実するかしないかは、上からトップダウンでやったことが長続きするわけではないんですね。現場の先生が実際に子どもたちに教える中で、これをやったら子どもたちが変わったとかすごく効果があったという実感こそが、変革につながります。
私たちは教育的価値のある内容を現場にしっかりおろしていく。そこから先は、現場の熱意です。先生方はみんな子どもたちのために働いていますので、これがよいと思えばどんどん広がりを見せていくはず。心の健康や精神心疾患の内容はそういう可能性を持っていると思っています。
今回、新型コロナウイルス感染症の問題で子どもたちを含め教師も大変な思いをしていると思います。一方で、各学校から「健康や保健の学習がとても重要だということを実感した」という話が数多く聞こえてきます。やはり健康あっての勉強でありスポーツであり、日々の生活なんですよね。子どもたちが自分の将来に向かって努力したり勉強したりすることを支えているのが健康なわけですから、この重要性を今回は特に実感できたのではないかと思っています。保健の教育について、「ピンチをチャンスに変えましょう」と、現場の先生方に訴えています。
(文・熊谷わこ)