韓国のソウルと釜山、2大市長補欠選挙で、与党「共に民主党」が、最大野党「国民の力」に大差で敗北し、国政が大混乱している。
来春の次期大統領選挙の前哨戦とされただけに野党に勝って政権維持を目指す文在寅(ムン・ジェイン)政権にとっては補選の惨敗は相当な痛手となった。
文大統領は支持率回復の起死回生を狙って、東京五輪での北朝鮮との統一チーム構想の実現に執念を燃やしていたが、このプランも暗雲が垂れ込めている。北朝鮮が4月5日に突然、東京五輪「不参加」を宣言したためだ。
北朝鮮体育省はこの日、ホームページで唐突に次のようなメッセージを発表した。
「共和国オリンピック委員会は(3月25日)総会で、新型コロナウイルス感染症による世界的な保健危機状況から選手を保護するため、東京五輪に参加しないことを討議決定した」
ところが、青瓦台(大統領府)はまだ南北統一チーム構想をあきらめていないという。
青瓦台は8日、兪英民(ユ・ヨンミン)大統領秘書室長主宰で国家安全保障会議(NSC)常任委員会会議を開いた。
その後、「東京五輪が平和のオリンピックとして行われるよう外交的努力をする。米朝対話が早期に再開されるよう関係国間で緊密に協議していくことにした」とリリースを発表している。
文大統領は3月の記念演説で「東京五輪は韓日間、南北間、日朝間、そして米朝間対話の機会になり得る」とし、「韓国は東京五輪開催、成功のために協力する」と述べた。東京五輪を通じて北朝鮮と韓日米間対話の扉を開くことができるという構想を内外に明らかにしたのだ。
青瓦台は東京五輪に北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長、または、実妹・金与正(キム・ヨジョン)副部長ら指導部を参加させて、南北統一チームを構成し、開会式に南北選手の共同入場を構想している。
五輪の開会式場で米、日、南北の首脳会同が実現すれば、これをきっかけに米朝首脳会談、日朝首脳会談、南北会談が続くなら、東京五輪が東アジアの緊張緩和と平和オリンピックになるという壮大な構想を描いているという。