――2位と3位の作品についても、選んだポイントを教えてください。
『麒麟がくる』は後半の盛り上がりがすごかったですね。王道の正統派大河ドラマが久々に見られた感じがありました。『龍馬伝』も、これを見たおかげで、岩崎弥太郎という人物の面白さに気づくことができた。『麒麟がくる』も『龍馬伝』も原作がなく、オリジナルの脚本というところにも驚きました。
――リアルタイムで見てない中で思い出深い作品はどれですか?
『独眼竜政宗』(1987年)、『太平記』(1991年)『利家とまつ~加賀百万石物語』(2002年)ですね。『独眼竜政宗』は、主演の渡辺謙さんがとても渋くてかっこ良かったです。とても似合っていて、貫禄があった。やっぱり演じている俳優さんが役にしっくりきているかって大きいと思うんです。鈴木亮平さん主演の『西郷どん』を見ていても感じたのですが、本人が役に似合っているかどうかで、話の入り方がだいぶ違うなと思います。渡辺謙さん演じる伊達政宗は、歴史上の人物と完全に同化していました。
――大河ドラマの魅力はどんなところですか。
歴史上の人物は自分の生きていない時代に生きているので、すごいのはわかるけれど、実感がわかないことがよくあります。でも、大河ドラマでは、本や教科書のような文面だけで見ると想像が追い付かないところまで、ちゃんと描いてくれている。結局好きになるきっかけって、いかに自分事に置き換えられるかだと思うので。
あとは、その歴史上の舞台に自分たちは一人も生きていないのに、史料と専門家の知識と撮影班のノウハウで、その時代を再現させるというのは、本当にすごいことだなと思っています。それを家で見ることができる自分は、なんて幸せなのだろうと(笑)。
――2月には、初の書籍『歴史のじかん』も発売されました。歴史に詳しい識者と対談もされていました。
ありがたかったですね。史学科でもなければ、専門家を目指しているわけではない人間に、ただ好きだからというだけで、こんなに丁寧に教えてくださるんだなって。もともと知りたがりの性分なので、勉強は昔から好きでしたが、それを表立って言うと引かれるなと思っていた時期もありました。でも今は、勉強や歴史が好きだと、堂々と言えています。やりたいことや好きなものを言い続けてきたから、今がある。これからも好きなものを、周りに言い続けていきたいですね。
(構成=AERA dot.編集部・飯塚大和)