YouTubeの場合、関連動画から自分の好きな動画を選べますし、視聴履歴からその人が好きそうな動画をオススメされます。YouTubeでは、「体に良い健康的な動画」よりも「ジャンクフードのような動画」の方が数字が伸びやすいのが事実です。だから、冒頭のように「子供がYouTubeで教育的な公式チャンネルを見続けることはほとんどない」と言えるのです。(横にお菓子やデザートがオススメされて出てきてるのに、目の前の野菜やご飯を食べ続ける子は稀です)さらに言えば、お酒やタバコのような中毒性のある動画は、ものすごく伸びます。これを狙って作れるYouTuberは、非常に優秀で、素晴らしい数字を出します。
多くのYouTuberは、数字を取るためにジャンクフードのような動画を作ります。その方が数字は伸びるし、広告が付くし、視聴者が喜ぶからです。これを悪いことだとは思いませんし、現実でもマクドナルドやコカコーラや脂たっぷりのラーメン屋さんは多くのファンを抱えています。彼らは顧客に無理やり食べさせるのではなく、顧客が選ぶ好みの味を提供しています。このジャンクフード的なYouTubeコンテンツが、健康食のようなNHKのコンテンツになることはあるでしょうか。答えはノーです。ジャンクフードを好む人が多いYouTubeで、健康食を作るのは効率が悪いのです。スポンサー企業による広告収益が大きい収益モデルは、再生回数や広告表示数などの数字を取れる動画の収益性を高めるからです。この状況で、数字を追わないコンテンツを制作するYouTuberは、非常に稀です。
Netflixはどうでしょうか。Netflixは、世界で2億人の会員が月額使用料を支払っています。この毎月発生する使用料(サブスクリプション)を制作費にあてています。この構図は、約4000万世帯からの受信料を元に番組を制作するNHKに類似します。特にNetflixは会員数が多いので、コンテンツの制作予算は年間2兆円近くです。一つの番組単体で数字を取らなくても、すでにある映画や番組やドラマが多く、会員からの月額使用料が入るので、教育的な動画を含む様々な番組を制作できます。料理で例えると、ジャンクフードも健康食も高級な食事も全て揃う感覚です。NHKやEテレを代替する可能性が大いにあることと、YouTubeとは全く違うプラットフォームであることは明らかです。視聴時に、YouTubeのように横に関連動画が登場しないので、番組を最後まで視聴しやすい形式であることも、YouTubeとは大きく異なります。
以上の点から、いくら公式チャンネルが増えてもYouTubeがEテレやNHKを代替できる可能性は低く、Netflixが代替しうると考えています。