普通の人がどう娘と接しているのか俺には分からなくて、そういう家族サービスの仕方しかできなかったんだ。だって、俺は13歳で相撲の世界に入って、それからプロレスに行っただろう。クセの強い男ばかりの世界にいたから、娘が生まれてもどうしていいかわからなかったけど、娘も娘で、父親の“天龍”は忙しい人だと女房から聞かされていたし、たまに俺と外出すると「え? お父さんも行くの?」と緊張していたようだ(苦笑)。

 そうだ! 娘との思い出がもうひとつ。俺が寿司屋をやっていた時、主に女房が店に立っていて、夜11時半ころに終わって、娘と一緒に迎えに行くんだ。それまでテレビで放送している映画を娘と見ていて、マイケル・ダグラス主演のサスペンス『ダイヤルM』をよく放送していたんだ。それで、いつも二人で見るんだけど、決まってクライマックスで女房から連絡があって迎えに行くことになる。だから、いつまでたっても結末がわからない! たぶん、俺と娘が世界で一番『ダイヤルM』を楽しんだ人間だと思うよ(笑)。

 そんな彼女をたまに娘じゃなくて、息子みたいに思う時がある。女房の気風の良い性格を継いだのかな。ボケないようになのか天龍にガンガン仕事をさせるしね!(笑)

 俺から見ても時々「お、男前だな」と思うことがあるよ。これは娘としてなのか代表としてなのか、どちらもかな。天龍プロジェクトの大会で俺が欠場しているときに帰ってくる場所を守らないとって言って大将代行って形で選手に声かけて後楽園大会をしたり、引退試合も「絶対、両国国技館でやる!」って、きかなかったからね! だから俺が唯一、「男前だな!」って言ったのは娘なんだよね。

 最近なんか「大将が笑顔でテレビに出るのも歳をとったからこそできる素敵な事かなって、よかれと思って仕事を入れていたけど、角を丸くしすぎちゃって申し訳ない」なんて言うようになったよ(笑)。そんなことまで考えてくれるんだから、たまんないよね!

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我が娘ながら大したもんだ!