山田のほかに東大に阻まれ続けているのが、タレントのラサール石井(65)だ。2010年から受験勉強を始めたが、8回連続で落ちている。

 彼をかき立てるものは何なのか。ラサールは高校時代、東大受験に失敗した苦い過去がある。通っていたラ・サール高校(鹿児島県)は、東大合格者数ランキングでも上位に食い込む、屈指の名門校だ。

「僕は落ちこぼれでしたが、1次試験がマークシート式だったので、運よく通過できた。それで、いけるんじゃないかと。でも、2次はさっぱりわからない。国語の長文を読んでうたた寝してしまうほどでした」

 結局、早稲田大学に進学。だが芸人として成功してからも、受験に再チャレンジしたいという思いは募っていたという。そして55歳ごろから一念発起して、人知れず勉強を続けてきた。

「仕事があるのでまとまった時間の勉強はできません。それでも5年ぐらい続ければ何とかなるんじゃないかと思っていましたが、甘かったですね。あれから10年ほどたちましたが、毎回、センターの壁に阻まれています」

 600点を境に、なかなか点数が伸びなくなったという。

「限界なのかな、と感じることもあります。覚えが悪く、解くのにも時間がかかる。老眼で字も読めない。読解力も落ちていて、すべての問題を解き終わることができないんですよね……」

「バランス」の観点からも、東大受験の難しさを語る。

「ほぼ全科目で8割以上とらないといけません。東大受験は1科目だけが得意だからといって、通用する世界ではないんです。僕は昔から理数科目が苦手で、生物や数学の『確率』がなかなか克服できずにいます」

 今後も挑戦は続けるという。

「毎年、東大の2次試験の日は、かならず空けるようにしています。センター試験から共通テストに変わったので、しばらくは苦戦を強いられるとは思いますが、まずは2次試験にたどり着けるようにしたいですね。勉強は趣味として楽しんでいるので、苦労はありません。受かったら、ですか?もちろん通いたいですよ!」

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受験に失敗しても東大は「特別な場所」