どうして「ジョー&ヨシ」の関係を使って、アメリカのワクチンを日本にすぐに譲るように交渉できなかったのかということだ。共同声明に「防衛力強化を決意」と書いたのは、米国武器を爆買いするという誓いの言葉。それとの引き換えにワクチンをもらうくらい安いもののはずだ。アメリカは、数億回の余剰分を含め人口比2倍のワクチンを発注している。それを、メキシコなどに提供する。
さらに、韓国KBSテレビによれば、韓国政府はアメリカに「ワクチン・スワップ」を要求した。昨年、第1波のとき、韓国は、アメリカに検査キットとマスクを大量供給したが、そのお返しに、今回は韓国に米国がワクチンを供給し、将来、韓国がその分を米国に返すというスワップ取引のアイデア。かなり強気だ。
武器爆買いや南シナ海での米軍の役割の肩代わりというとんでもない重荷を背負わされる日本に対してワクチンを融通しろという提案もできないのが「ジョー&ヨシ」の関係なのか。ちなみに、菅政権は、韓国の構想実現を全力で妨害すると私は見ている。
ハンバーガーもワクチンも、日本がアメリカの属国だという証し。とても残念なことではないか。
※週刊朝日 2021年5月7-14日号
■古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。主著『日本中枢の崩壊』(講談社文庫)など