このころの学習指導要領(1989年改訂、1992年施行)では、保健の授業は5・6年生にしかなく、中でも月経は5年生の学習内容だった。その後(1998年告示、2002年施行)の学習指導要領で、保健の授業を3・4年生も行うようにカリキュラムが変更され、4年生で月経について習うようになったようだ。日本産科婦人科学会では、10~14歳に初経が見られるものを正常とみなしているため、小学3~4年生で月経について学ぶようになったのは「多くの女子児童が初経を迎える前に」という考えからと推測される。

 しかし、全国のすべての学校で男女共修ではなく、自治体や学校によって異なるのが現状だ。

 沖縄県で20年以上前から性教育に携わってきた、助産師の百名奈保さんはこう話す。

「月経教育は、自治体や学校によって内容や実施の仕方に違いがあり、現在も学校によって、『男女別』『男女共修』『女子のみ』と、行われ方はさまざまなようです。それぞれ、長所と短所がありますので、どのような形で実施するのかは、学校に任されています」

「男女別」は、男子・女子それぞれの込み入った悩みや質問が出やすく、答えやすい。「男女共修」は、男子・女子それぞれの心身の違いを知り、お互いをいたわり合うことを期待できるという長所がある。

 実際に性教育・月経教育を男女共修で受けた子どもたちは、どのように感じているのだろうか。にじいろさんに寄せられた声を紹介したい。

「最初は男女一緒にこういう話を聞くのは嫌だったけど、一緒に聞くことに意味があると思った」

「自分とは違う性のことを知るからこそ、他人のことも想像して思いやれるのだと気づいた」

 こうした声から筆者は、男女平等に月経教育を受けることのメリットは大きいと感じている。男性でも女性でも「知らなかった」「勘違いしていた」が悪気なく相手を傷つけたり、相手の言葉や行動の真意を取り違えたりすることは多くの大人が経験していることだ。

次のページ
高校生が「もっと早く教えてほしかった」