中学に入る前からでも少しずつ、子どもに自由裁量権を認めてあげるという演出が必要。学習計画を立てる際も、親が全て決めるのでなく、「次は何を、どんなスケジュールで学ぶ?」と聞き、本人に考えさせる。自分で決めさせる。そして決めたことを少しでも実践すれば、「自分のことが自分でできる子に育ってうれしい」と大いにほめる。親が求める方法と多少違ってもいいのです。このような会話を積み重ねていくうちに、やがて自分のことを自分で管理できる子に育つはずです。
■1年かけて見守る
──コロナ禍で子どもが元気をなくし、不登校気味に……。どう声かけをすればいいですか。
大人も子どもも普段の生活を変化させるのはストレスがかかるものですよね。そんな時、規律を守らなくてはいけない学校に行くのは気が重い、ということがあって当然かもしれません。勉強の問題にしろ、不登校にしろ、深いレベルの悩みがある場合は、一気に解決しようとせず、長い目で見守りましょう。
まずは、学校に行きたくないなら無理に行かせなくてもいいと親が思うことから始める。そして、今より一歩、気持ちが軽くなるには何が必要かを考えてみてください。例えば、人ができるだけ少ないところに家族で出かけてみる。親子で体を動かして、キャッチボールしてみる。少しずつ安心して外にいられる時間が増えたら、体が元気になって、やがて学校にも行けるということはよくあります。
元気をなくした子は、あれもこれもできなくなった自分を一番責めています。だから楽しいことを繰り返しやっていく。焦らず、その子なりに頑張ったことを何度でも認めてあげる。繰り返すことで、気持ちのコントロールができるようになっていきます。長い目で、1年くらいかけて少しずつ成長を見守るのが大切です。
子どもを信じて、ほめること。これがどんな時代も一番大切なことだと思っています。どうぞ焦らず頑張ってくださいね。
(構成/ライター・玉居子泰子)
※AERA 2021年5月31日号より抜粋