もとゆき:わかりました。下書きにすると、こんな感じです。
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【下書き(1)】
◎志望動機(なぜこの大学を選んだのか)
・私は持続可能な社会に関心があるので、貴学の総合環境学部で学びたい(=主張)。
・貴学には、総合環境学部があり、持続可能な社会について学べる(=理由)。
○具体的にこの学部に惹かれた点
・食品ロスや、プラスチックごみなどについて専門的に研究している先生方がいる。
・学部では、消費行動学、環境法など様々な関連分野の講義が提供されている。
・専攻の決定が2年次で行われていて、少人数制のゼミを導入している点も魅力的。
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もとゆき:「方法論」はないですが、いいですか?
今道:今回、答案を読む側は大学の関係者です。その人たちに、なぜこの大学に入りたいかを「納得」「理解」してもらうために答案を書いています。「持続可能な社会実現へ向けての方法論」は、これから研究するわけですから、今の段階でわかっている必要はないですよね。だから、この答案に関しては、その要素はなくてかまいません。
■大学受験では2つの選択をしている
もとゆき:じゃあ、これで下書きは完成でいいですか?
今道:大学の志望理由を書く場合は、答案にもうひとつ大きな要素を入れた方がいいですね。
もとゆき:というと?
今道:実用文では、読み手の「納得」「理解」を得ることが大事だと言いましたよね。この答案では、今挙げてもらったことに加え、読み手としてはもうひとつ「納得」したいことがあるんですよ。大学を受験するときって、2つのことを選択するでしょ。
もとゆき:2つの選択ですか。1つは「この大学を選んだ」ということですよね。
今道:それと、「どの分野に進むか」ですね。
もとゆき:ああ、そうですね。
今道:文学、法学、経済学、理学、薬学、いろいろある中で、ある特定の分野を選択したわけですよね。ですから、「なぜその分野に興味があるのか」を知りたいのです。
「私はこういう理由でこの分野を学びたい」、「そして数ある大学の中でも、貴学はここが良いから入学したい」と、この2つの要素が納得できると、「それであなたは、うちの大学のこの学部に進みたいんですね」と腑に落ちます。