子どもが納得いく人生を生きるために、親が徹底的に寄り添うことですね。親はつい自分の感情が先立って、子どもに自分勝手な期待をしてしまいがち。でもそれではダメなのです。
私はいつも、行きたい大学ではなく行ける大学に行きなさいと話していました。希望の大学に不合格になったら、その大学にご縁がなかっただけのこと。一生懸命やって入れた大学に進めば、またそこで道が開くことがあるよ、と話していましたね。
上の3人はすでに仕事についていますが、仕事に関しても「なりたい職業」ではなく「なれる職業」に就きなさい、と言っていました。大人になって自分や家族が生きるために額に汗して仕事をすることが、人間として大切なのだとも話しました。
今後、子どもたちに望むことは、幸せに楽しく生きていくことだけ。子どもたちが40歳の時に人生を振り返って、「今の生活も楽しいけど、実家で家族と一緒に過ごした18年間は、受験もあって大変だったけど楽しかったな」って思い出してくれたらいいなと思っています。
でも楽しい思い出にするためには、18年のうち12年間は学校に行くわけだから、学校や勉強がやはり重要なのですよね。成績が良くないと楽しく思い出せないでしょう? だから、厳しく鍛えたんですよ(笑)。きちんと日々勉強に向き合うということは、自分の人生を大切にし、納得のいく人生に必ずつながるのだと私は思っています。
(構成/ライター・玉居子泰子)
※AERA 2021年6月7日号より抜粋