低偏差値から東大合格に導くTBSドラマ「ドラゴン桜」。現実世界では、3男1女を東大理III合格に導いた“佐藤ママ”こと佐藤亮子さんがいる。AERA 2021年6月7日号は東大受験の心得を聞いた。
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──ドラマでは「東大合格必勝法 家庭の10カ条」と題して親は勉強に口出しするな、夫婦仲をよくしろ、などの心得があります。佐藤家の心得は?
確かに、高校生で親が勉強に口出すことはあまりないですよね。それまでに学習環境、学習習慣を整えておくことが大切。
作品の中で親が「うちの子に東大なんて無理」と言うシーンがありましたね。それは親が「東大」をよく理解せず遠いものと思っている証拠。わが子が東大を目指したいと言うなら、まず赤本を買ってみたらいい。そうすれば「レベルは高いけど普通の問題だ」とわかります。今の勉強の地続きで東大の問題があるとわかれば、わが子を信じて応援できるはずです。
■夫婦喧嘩は子どもの前
わが家の夫は仕事人間。生き生きと働く姿は子どもの手本になってくれていますが、子育ては私が一手に引き受けていました。多少の夫婦喧嘩もありましたよ。ただし喧嘩は“子どもの前で”が鉄則。だって裏でこそこそ喧嘩して、家が暗い雰囲気になるなんて嫌でしょう? 子どもも落ち着いて勉強できませんよ。だから夫に言いたいことがあるときは子どもの前で。中高生にもなると「親父、ママにとりあえず謝っとけ」なんて仲裁してくれました(笑)。
ともあれ、家族仲はいいと思います。きょうだい喧嘩は昔も今もないですね。幼い頃の喧嘩って、親の接し方や、食べ物、おもちゃがきょうだい間で不公平だったりして起きるもの。だからきょうだい間の公平さは常に意識して、無駄に嫌な感情を持たせないようにしていました。
特に、受験生がいるときは、家族は一蓮托生。夏休みのかき氷も花火も、受験生がいる年の夏には中止。その代わり受験生がいないときは目いっぱい、行事や遊びを楽しむ。外食も誰か一人でも欠けるなら、絶対行かない。そこは徹底しました。
食事も勉強も全部リビング。帰り時間がバラバラでも、いつも他のきょうだいがリビングにいる。一人で遅い食事でも「孤食」にはならないのです。勉強は孤独な作業だけれど、勉強をする環境は孤独にしない。あの環境は良かったと、のちに子どもたちも言っていました。
納得いく人生になる