「温泉旅行と同窓会、この2大イベントの前に駆け込む方が多いです」
湘南藤沢形成外科クリニックR総院長の山下理絵さんが言う。
すっぴんになったり、何十年ぶりかに再会したりする場。70代、80代になっても、シワ、シミだらけの顔を見せたくない。「あの人だれ?」と言われることなく、できれば「全然変わっていないのね!」と声をかけられたい。そう思う女性も多いのではないだろうか。
とはいえ、「形成外科などに行くのはちょっと」というのが大半の人の思いではないだろうか。そこで、「興味はあるけど、躊躇(ちゅうちょ)している」という方のために、最近の美容医療事情を紹介したい。実は思っているほどハードルは高くないはずだ。
まず、形成外科などで美容医療というと、高齢の人ほど「整形手術で顔を変える」といったイメージがあるのではないだろうか。極端に言えば、全身麻酔をして顔にメスを入れ、手術後は顔に包帯を巻き、費用も高額で……。どの程度の治療をするのかにもよるが、現在の美容医療について、山下さんはこう説明する。
「『手術してでもキレイになりたい』と考えるのはある一定層です。全身麻酔して通常の生活ができるまでに時間がかかるのは勇気がいります。そうした手術は、国内でも、世界レベルでも少なくなってきています。今は超音波や高周波マシンなどの美容機器や、ヒアルロン酸注射、レーザー治療のような手術以外の施術の分野がすごく進んできましたから」
日本美容外科学会(JSAPS)などの調査によると、回答のあった423院の2019年の全美容施術数の合計は、約197万6千件(18年は約170万7千件)。そのうち外科的手術は約26万件で13.1%(18年は約23万5千件で13.7%)と、非手術に比べ圧倒的に少ない。
学会は、「回答医療機関が全く同じではないので正確には言えない」とした上で、「全体の施術数は増加しており、特に非手術治療の施術数の増加が顕著である」との見方を示している。