「水」が新型コロナの感染防止においても、大切な要素のひとつであることは間違いない。たとえば、東京都水道局は、ホームページ(HP)にこんな文章を掲載している。
<コロナウイルスに分類されるウイルスに対しては、一般的に、塩素等による消毒の効果が高いため、適切に塩素消毒されている水道水が原因となって新型コロナウイルスに感染することはないと考えられます。 また、予防の観点から、手洗いは水で洗うだけでも一定の効果があります。さらに、せっけんでよく洗ってから豊富な水量で洗い流すと、より大きな効果があることが確認されています>
また昨年の8月には、陛下と雅子さまはそろって、「新型コロナウイルス感染症大流行下の水防災に関する国際オンライン会議」を聴講している。開催した政策研究大学院大学のHPには、その意義をこう記載している。
<このオンライン会議は新型コロナウイルス感染症大流行下の水関連の災害対処策に関して議論し、行動と連携の方向性に関する認識共有を図るために開催したもので、新型コロナウイルス感染症、水問題・水災害に関する国連・国際機関・各国・市民社会や民間からの指導者、専門家らおよそ300人が参加しました>
天皇陛下が、新型コロナウイルスがどのような状況で感染拡大するのかといった知識を学び、分析したきたであろうことはおのずと伝わってくる。
天皇陛下の感染症への深い洞察が土台に立った上で発信された、今回の西村長官の「拝察」。菅首相をはじめ官邸は、「長官個人の発言だ」と口をそろえるが、陛下の人となりをよく知る人物は、どのように感じているのだろうか。
学習院高等科時代から青年期にかけて天皇陛下の友人として過ごしたアンドルー・B・アークリーさんは、オーストラリアの自宅で、宮内庁の西村長官が新型コロナ感染拡大への天皇陛下の「ご懸念」に言及したことを知った。
「陛下は、昔から国民の皆さんの健康を願う気持ちや、地震や洪水のような天災の際、国民が安全でいたかといったことをとても注意深くご覧になっていた。たとえば、私たちが東宮御所で会う約束をしていても、国内で災害が起これば、すぐに侍従さんから中止の連絡がきました。いつでもお見舞いに行けるよう準備をなさっているのだと思います。同時に、犠牲者が出たり、人びとが苦しい思いをしているときに、友人と楽しい時間を過ごすことは出来ない、というお気持ちであったのだと思います」
令和の天皇の「祈り」にも近いメッセージは、官邸に届くのか。(AERAdot.編集部 永井貴子)