では、そんなスター軍団に死角はないのだろうか。ここではあえて「ドリームチーム」が抱える課題を挙げたいと思う。
まず一つ目が日程だ。23日に開幕する東京五輪はバスケットボール競技も25日にスタートするが、今年はコロナ禍の影響で、通常のなら6月に終わるはずのNBAは現在もシーズン中。ファイナル第7戦は東京五輪開幕日で、仮にファイナルが最終戦までもつれるとブッカー、ファイナル進出の可能性があるドリュー・ホリデー(ミルウォーキー・バックス)、クリス・ミドルトン(バックス)の合流が遅れることになる。
ファイナルが長引いた場合、3人はプライベートジェットで東京入りするようだが、そのスケジュールは過酷なもの。さらに、多くのプレーヤーも過密スケジュールとなったシーズンを終えたばかりで、疲労は蓄積しているはずだ。今季はデュラントをはじめ故障者が多かったが、コンディションの維持はアメリカ代表にとって十分にケアすべきことだろう。
二つ目は五輪の経験不足だ。今回選抜されたメンバーの中で五輪出場経験があるのはデュラント、ドレイモンド・グリーン(ウォリアーズ)、ケビン・ラブ(クリーブランド・キャバリアーズ)のみ。それ以外の選手は国際大会の経験に乏しく、ブッカー、ビール、バム・アデバヨ(マイアミ・ヒート)、デイミアン・リラード(ブレイザーズ)などNBAで屈指の実力を誇る面々も「ドリームチーム」としては初の大舞台となる。
百戦錬磨の彼らだが、一昨年のワールドカップでリーグの「同僚たち」が7位に沈んだことでわかるように、世界のレベルは毎年、向上している。国際大会という独特の雰囲気やFIBAとNBAのルールの違いに苦戦するNBAプレーヤーがいることも確かだ。2年前のワールドカップでギリシャ代表のヤニス・アデトクンボ(バックス)はルールが違うことへの戸惑いを口にしていたが、今回のメンバーの中にも、そうした異なる環境に順応できず力を発揮できないプレーヤーがいてもおかしくはないだろう。