月経は女性に起きる生理現象で、アプリは健康管理の手段の一つにすぎない。「生理があると非処女」「ナプキンは一日一枚で足りる」などの投稿は、女性の心身や月経について、誤った知識や偏見から発せられたものだ。
この炎上の背景には、男性が女性の月経について知る機会が圧倒的に少ない現状があると筆者は考える。男性にも月経の正しい知識が必要だと感じたできごとだった。
■「下心と誤解される」男性からは確認しにくい現状
月経に対する無理解や知識の乏しさが招く問題は、ネット上だけの問題ではない。
たとえば40代既婚男性のAさんの場合。妻は出産後に精神的に不安定になり、夫婦喧嘩が増加。最初Aさんは、「間違っていないときは、自分は絶対に折れないぞ」と思っていた。
しかし、だんだん妻の異変に気がつく。
妻が落ち着いているときに、悩みや困っていることを箇条書きにしてもらうと、「死にたい」「消えたい」という文言が出てくることに危機感を抱き、インターネットで調べたところ、「PMS」という病名が見つかる。Aさんが婦人科の受診を促したところ、妻は「PMDD」と診断され、服薬を開始。以降、不安定になることは少なくなり、夫婦喧嘩も減少していった。
「男性が、女性の生理の大変さにまともに向き合うことになるのは、おそらく男女として真剣に交際するようになってからではないでしょうか。月経も妊娠も出産も、身近にいる妻だから大変さを実感できましたが、友人や同僚なら気づけるかどうか……。女性側も訴えづらいのではないでしょうか」(Aさん)
Aさんは、自身が小学校で性教育を受けた記憶は、「全く無い」と言う。
「思春期前後の男子って、性に関する話は下手すると女子以上に恥ずかしがって心理的に忌避するし、自分の身体に該当する現象が起きなければ、1回の授業では忘れてしまうかもしれません」
当初のAさんのように、女性の不調に気づきにくい男性が少なくない一方、たとえ気づいていても、実際に対処できるかはまた別の問題だ。