村瀬さんは、高校の保健体育教師を務めていた頃、日本の性教育の遅れや不足に危機感を持ち、独自に性について学び、高校で教え、大学でも「セクソロジー」の講義をし、性に関する書籍を数多く執筆してきた。

「性について理解が深まるにつれて、もっと早くから学んでいれば、もっと早く自分に自信が持てたし、もっと早く心地よい人間関係づくりができたと思う」と村瀬さんは語る。

 性教育とは本来、「いのち・からだ・健康」の学問。そして人格を育てるのに必須の「教養・知性」だと村瀬さんは話す。つまり、性を学ぶことには、以下のようなメリットがあるのだ。

(1)性的トラブルを避けられ、万が一トラブルにあっても解決に向かって適切に対処できる
(2)自分の性や身体に対して肯定的に捉えられるようになり、自己肯定感が高くなる

 自己肯定感の高い人は、自分だけでなく、相手のことも尊重できる。そのため、性の正しい知識は、幸せな人間関係を築くための土台となる。人々が男女の性の違いを理解し、1人ひとりの性を尊重できるようになって初めて、本当の男女平等社会のイメージができるようになるのではないだろうか。(旦木瑞穂)

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