そして、2年連続出場の甲子園では、1回戦の日本文理戦の2回に3番・森と連続本塁打を記録。「森が打って自分も、というのはイメージできなかったので、センター返しを意識したら、ホームランになった」そうだが、甘く入ったスライダーをとらえた高い弾道の打球は、あっという間に左翼席中段に消えていった。
3回戦で明徳義塾に敗れ、V2は夢と消えたが、近田はこの試合でも岸潤一郎(現西武)から2本の二塁打を放ち、4番の仕事をきっちりこなした。
このほか、04年のセンバツ2回戦の東北戦で、ダルビッシュ有(現パドレス)から2本塁打を記録した中村桂司、12年のセンバツ1回戦の花巻東戦で大谷翔平(現エンゼルス)から左中間に逆転二塁打を放つなど、2本塁打7打点で春初Vに貢献した笠松悠哉、同年の春夏連覇チームで3、4番を打った主将の水本弦、“おかわり君2世”田端良基も記憶に残る強打者だった。(文・久保田龍雄)
●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2019」(野球文明叢書)。